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ことわざにもある「損して得取れ」は、れっきとしたマーケティング手法である

   

昔の人の知恵がいっぱい詰まっていることわざ。「小さなことを重ねることがとんでもないところに行くただひとつの道」はイチローが残した名言だが、これもことわざに言い換えれば「塵も積もれば山となる」に当てはまる。

今回タイトルにもあげた「損して得取れ」は、商売する者にとって格言のようなことわざ。では、ビジネスにおいて具体的にどのような手法を実践すれば、このことわざにあるような成果が得られるのか。

 

フロントエンド商品とバックエンド商品

そもそも損して得取れとはその言葉通り、一時的に損はしても最終的に大きな利益が返ってくるように考えよという意味。これをマーケティング手法ではフロントエンド商品とバックエンド商品を用いることで利益を得る仕組みになっている。

フロントエンド商品とは

フロントエンド商品とは、顧客を集めることが目的の商品。商品の対価は売上ではなく、あくまでお客さんそのものにある。集客のための商品だね。印刷会社を例に取ってみる。以前、クライアントの印刷会社で新規顧客獲得のために、初回注文に限り「名刺1枚1円」というキャンペーンを打ったことがあった。

100枚でも100円だからお客さんはやってくる。当然赤字になるのだが、そこは回転率の高い商品。リピート化しやすく回転の早い性質の商品をあえてフロントエンド商品に設定した。でも、名刺受注だけでは大きな利益にはつながらない。そこで、バックエンド商品に誘導するのである。

バックエンド商品とは

バックエンド商品とは、大きな利益を得るための本命商品。フロントエンド商品の対価は売上ではないと書いたが、バックエンド商品の対価は、売上や利益そのものだ。その企業にとって本当に売りたいもの。バックエンド商品が売れることでようやく収益につながる。

さきほどの印刷会社の例でいけば、フロントエンド商品の名刺で顧客化し、本命商品であるパンフレットやカタログといった高単価の商品を購入してもらうこと。このパンフレットやカタログがバックエンド商品となる。

 

損して得取れは、2ステップマーケティング

どの業界でも、この手法は多用されている。例えばネットビジネスであれば有益な情報を無料のメルマガや小冊子にしてリードを獲得したり、アプリであれば機能を制限した無料アプリをダウンロードしてもらうこと。化粧品業界を例にあげれば、無料のお試しセットといったものは全部フロントエンド商品だ。

なんでもそうだけど初めてその商品やサービスを利用するときって、価格や品質がリスクになる。この消費欲求に対するリスクをフロントエンド商品で取り除き、購入ハードルを下げることでバックエンド商品に誘導しなければならない。

実際に使ってもらい、満足(安心)して、もっと使いたいと思わせる(もしくは物足りないと思わせる)。これが2ステップマーケティングだ。

売れる仕組みなんて人間の行動欲求を考えればシンプルなもので、マーケティングと難しく考えるから何が正解か分からなくなることもある。昔の人の知恵がいっぱい詰まったことわざから、商売を考えてみるといいかもね。

 

バズ・マーケティングもフロントエンド商品のようなもの?

口コミや紹介もある意味フロントエンド商品だ。元々、フロントエンド商品は購入リスクを取り除くためにあるので、そのリスクさえ取り除ければじつは何でも良い。

食べログでのレビューや楽天・アマゾンでの購入者レビューのように(たまに問題もあるが)、利害関係のない第三者がその品質を保証してくれれば、即本命商品(バックエンド商品)購入にたどり着くこともできる。

その中でも最近主流になっているバズ・マーケティングは口コミの代表格。ソーシャルメディアを使った口コミ拡散の手法だが、特にFacebookは実名制のため情報の信頼度が抜群に高く、いいねやシェアすることで有益な情報が拡散していく。

「あの店のこの肉めちゃうめえ!」なんて、リアルな関係性のある人に言われたら食べてみたくなるようにね。

 

まとめ

  • フロントエンド商品とは、顧客を集めることが目的の商品である
  • バックエンド商品とは、大きな利益をあげるための本命商品である
  • 購入リスクを取り除くことができるものであれば、それもフロントエンド商品になる

 - マーケティング