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新規顧客となるプロセスを自分自身のケースで検証してみた(その2)

   

年末の大掃除や買い出しで我が家もバタバタです。それもこんな時期に限って掃除機がいきなり壊れる始末・・・(泣)

さて、今回は前回からの続き。前回をご覧になっていない方は以下よりご覧ください。
新規顧客となるプロセスを自分自身のケースで検証してみた(その1)

前回は自分が鞄を購入したプロセスを6つのステップに分解してみたところまで(以下引用参照)

  1. 探す
    子供のランドセルを買うためにネットで検索した。
  2. 興味
    「ランドセル職人による手作り」というキーワードに惹かれた。
  3. 記憶
    その時は縁がなく買わなかったが、その後しばらくして広告を目にすることで記憶が呼び戻された。
  4. 検討
    自分の鞄を変えたい動機が生まれ、記憶していたそのメーカーのサイトを巡回。利用者視点によるコンテンツがすごく良かった。他社のも一応検討してみたが、いまいちピンとこなかったので、そこの商品に照準を絞った。
  5. 不安
    けっして安い買い物ではないから、ネットだけで決めるのは不安。そのメーカーの実店舗まで足を運び、実物を直接手にとって確かめることで、その不安がなくなった。
  6. 購入
    実店舗で購入した

 

今回はこの6つのプロセスを、売り手側の視点に立ってみた場合で考えてみます。

 

ステップ1 探す

商品やサービスを探すという行為は様々。自分から情報を拾いに行くという点ではネットが代表格。サーチという分野は巨大なマーケットで比較サイトが乱立しているのもその為。

ただ、今回のケースはキーワード検索なので売り手側としては自社サイトのSEOやらPPC広告などの施策をしていなければ永遠には消費者に見つけてもらえない。何も始まらない。まぁこの点は省略するけど、その他に重要なポイントがある。

誰が、いつ、どのような目的で探すのか

自分のケースでの目的は「ランドセルを買わなければならなかった」なんだけど、「誰が」の部分は使う子供本人ではなく、探す行為に対する対象者であって、ここでは両親や祖父母になる。探し始める「いつ」の部分は遅くとも3月までだが、間違って4月からプロモーションかけても早すぎてターゲットには響かない。

このように、売り手側にとって自分たちの商品やサービスを利用してもらいたい対象を絞り込んで、適切な場所で、適切なタイミングにターゲットに見つけてもらう対策をしなければ、全てが始まらない。DMとかは特に重要ですここ。

 

ステップ2 興味

今回のケースはネットによるキーワード検索。トップページに出たはいいが、興味を抱いてもらわなければ一瞬で離脱してしまう。このステップ2でのポイント。

ステップ1の対象に対し、他にはない「独自性」と、心を動かされるストーリーを提供できているか

自分のケースでは「ランドセル職人による手作り」というコピーに興味を持ちサイトを開いた。ランドセルという商品ではなく、1つずつ手作りしている「職人」のほうに心を動かされたわけだ。

ランドセルにフォーカスするよりも、それを作っている人々のストーリーを提供する・・・いわゆるモノよりコトってやつだね。他のメーカーは基本ランドセルをアピールしているので、個人的にこの差は歴然だった。

 

ステップ3 記憶

ステップ2で興味を持ったとしても、それが即購買につながるか、といえばそうじゃない。自分のケースでは、探す人と決定権者(次男)が異なったために、そのメーカーのランドセル購入には至らなかった。

興味は持ったがそのメーカーへの目的を失った自分は、また元の生活に戻り、忘れる。そこでこのステップでのポイント。

ステップ2の対象に対し、忘れた記憶を呼び戻させる「対策」はできているか

自分のケースではFacebook広告を目にしたことで記憶が呼び起こされた。ソーシャルメディアはシェアすることで拡散する性質と、ヘビーユーザーの使用頻度が高いことが特徴。FacebookやTwitterやる人って、1日に何回も見るでしょ。

よく接触頻度を増やせとは言うけど、ソーシャルメディアはそれにうってつけのツール。ただし、ターゲットによっては意味を成さないこともあるので注意。

 

ステップ4 検討

ランドセルを探そうとした自分が、そのメーカーに興味を持ち、一度目的を失ってもFacebook広告を通じて、記憶に留まる状態がステップ3で発生した。

さぁ、あとは売り側にとっては魅力あるコンテンツを提供し続けたり、キャンペーンを打ったりすることで見込み客を育てていく作業に入る。そこでこのステップでのポイント。

ステップ3の対象者が、検討の段階で「第一候補」になってくれているか

自分はまさにこの育てられた見込み客になっていた。鞄が欲しいと思った時点でこのメーカーが第一候補にあがったわけだ。興味が出てきた段階での検討ってのは、ほとんど第一候補がすでに存在していて、その第一候補で間違いないと確証を得るために、比較材料として第二候補や第三候補が存在する。

 

ステップ5 不安

ステップ4で晴れて「買おうかな?」と思っても、まだ購入には至らない。それは自分のケースがネットでの検討だったからだ。現物を手に取れないネット購入の不安を打ち消すには、保証だったり第三者のレビューだったりする。

ただし今回購入した商品は、「職人による手作り」。保証や第三者のレビュー(お客様の声)があっても、大量生産モノとは違う。実際に手に触れなければ分からない感触やディテールがある。そこでこのステップでのポイント。

ステップ4の対象者が、不安(リスク)が取り除かれ安心できるようになっているか

今回購入したこのメーカーは全国に直営店舗も持っていて、自分の不安要素であった感触やディテールを店舗で確かめることで全てが解決した。この不安を取り除く、ていう部分はめちゃくちゃ重要で、人間が本来持つ様々な心理を理解していないと購入という最後のゴールに辿りつけないことがよくある。

 

ステップ6 購入

晴れて購入。今回の説明はここまでだけど、じつは売り手側としてはここからがスタート。売上に占める3要素の中にリピートがあるけど、これを怠ったら売上なんぞ一過性で終わる。ちなみにこのメーカーは、関係性を継続するための様々な施策をしています。

 

まとめ

ということでまとめ。

  1. 誰が、いつ、どのような目的で探すのかを理解しているか
  2. その対象に響く独自性とストーリーを提供できているか
  3. いったん忘れた記憶を呼び戻させる施策はできているか
  4. 検討の段階で第一候補になってくれる施策をしているか
  5. 不安(リスク)を取り除かれるようになっているか

今回は自分が発見して購入するまでを事例にあげてみたけど、基本的なマーケティングプロセスでは「認知→関心→比較検討→行動」になる。どのプロセスも抜けていると買ってくれない。消費者ニーズは多様化してるし、最近は新規顧客より既存顧客との関係性重視にシフトしてるけど、顧客に選ばれるための努力はどちらも同じくらい重要。

まぁ、こんな感じで自分が買った時のプロセスを第三者視点で考えると見えてくるものがあるので、試しにやってみると面白いよ。あ、これを個人ではなく企業レベルで調べるときに一番簡単な方法があります。それが既存顧客へのアンケート。

販促等で困ったら、自分のお客さんに聞いてみることが一番の近道。ただ、作ったアンケートがこのプロセスに従った質問になっていないと意味ないからね(笑)

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