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突然中止になった、ある空き家再生プロジェクトを通じて思ったこと。

   

自分は不動産業界の人間でもないし賃貸オーナーでもない。でも、空き家という社会問題から派生したビジネスモデルには興味があって、自分なりに調べたりツアーに参加したりしてこのブログでも取り上げてきた。

そんな中、自分も参加した以下の空き家再生プロジェクトがFacebookを通じて突然中止になったことを知る。

中止に至った真相は分からない。モデルケースとして今後の進展に注目していたので残念だが仕方ない。今回は空き家問題に関わる本質的な部分、「人とお金」について、このケースとは切り離して自分なりに考えてみた。

 

物件オーナーと入居者の利害関係

以前、クライアントの依頼でマンションやアパートを所有する賃貸オーナー向けの仕事を手伝ったことがある。内容は「空室率の解消」だ。

空室が多いということはそれだけ家賃収入が得られないわけで、オーナーにとってはまさに死活問題。その物件に対していかに利益を最大化させるかが焦点になる。

逆に入居者の視点に立つと、より利便性の高い立地や設備を求め、同条件であればその地域の家賃相場より安い方に契約するのが自然な流れ。

このように利益を最大化させたいオーナーと、ライフスタイルを求める入居者とは利害が相反することも多い。

 

空き家の場合もっと問題は複雑

これが賃貸物件ではなく戸建ての空き家ともなれば、特別措置法の施行もあり条件によっては所有者の税負担が増す(固定資産税が最悪の場合これまでの6倍)。このリスクを回避するため、空き家管理サービスを提供する業者が増えてきた。

空き家所有者の中でも税負担が増す「特定空き家」に判定されそうな場合、目先の解決策であればこのような空き家管理サービスを利用して最低限の維持管理を委託するか、もしくは売却か投資して収益物件に変えることで利益を最大化させるなど考えられる。

ただ物事はそう簡単ではない。立地的に収益が見込めない場合や投資に消極的な人、複数の相続人がいる場合は遺産分割などでややこしくなるケースもある。

あと見逃しがちだが、住むことは出来ないけど思い出の場所を他人に好き勝手いじられたくない、という心情面も影響して先延ばしにするケースもある。

一括りに物件所有者といっても、その悩みは多種多様なのだ。

 

空き家ビジネスについて今一度考える事

このブログでも紹介してきた様々な空き家ビジネスは、その物件所有者であるオーナーの背景や共通理解が重要なポイントになると思う。空き家再生をコンセプトにしたサービスを展開したい第三者との相互理解は不可欠だ。

特に新しいことをやろうとすればするほど、それが異質なものと映って抵抗感が出ることもあるし、当事者間だけではなく近隣住民への理解も必要になってくる。

また、どんなコンセプトであっても「人とお金」の問題はついて回る。その現実を直視した上で、解決策を図ることに大きな意義があるだろう。それも一過性で終わることなく継続することに。

冒頭にあげたプロジェクト中止に至る原因は分からない。ただ、そのような経験は間違いなく次のステップへの材料にはなるはずだ。そんなことを思った。

 

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