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空室をマッチングさせる新たなサービス「TOMARERU」に期待

      2015/02/27

統計を調べてみたら、2014年の外国人観光客は過去最高の1,341万人に達したらしい。昨年12月だけでも123万人。前年同月比で43%増だって。すごい。外国人観光客の多い都道府県は買い物や宿泊でお金を落としていってくれるのでウハウハだろうね。

統計が示すように今後ますます外国人観光客が押し寄せる。2020年の東京オリンピック開催時がピークになるだろう。そう考えれば今後、既存のホテルや旅館といった宿泊施設だけではその需要を支えきれない。

 

旅館業法による制限を国家戦略特区に限って適用除外に

外国人観光客向けの宿泊といえば、空き部屋と宿泊者をマッチングさせるサービスとしてAirbnbをこのブログでも紹介した。でも、これは元々アメリカ発のサービス。

関連記事:年々増え続ける空き家。それを逆手に取るビジネスモデルが面白いという話

これを日本の法人が国内市場でやろうとすると「旅館業法」による法的な壁があった。Airbnbもこの旅館業法に抵触する恐れがあるので、はっきり言えばグレーゾーン扱い。

・旅館業法の定義(厚生労働省 旅館業法概要より抜粋)
旅館業とは「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されており、「宿泊」とは「寝具を使用して施設を利用すること」とされている。旅館業は「人を宿泊させる」ことであり、生活の本拠を置くような場合、例えばアパートや間借り部屋などは貸室業・貸家業であって旅館業には含まれない。

そこで政府は、国家戦略特区を使って解決策に出た。空き家や空室といった遊休空間を、外国人観光客の宿泊利用にマッチングさせることで不動産価値を向上させ、観光立国としての成長戦略にもつながることから、国家戦略特区に限って旅館業法の適用除外とすることで法的にクリアとしたのだ。

 

日本のベンチャー企業も空室マッチングビジネスに参入へ

今回紹介するのは、この分野で先行している「TOMARERU」というマッチングサービス。

とまれる TOMARERU.jp

宿泊マッチングサイト「TOMARERU」 https://tomareru.jp/

サイトを見ると正式なサービス開始はもう少し後っぽいので、今は宿泊モニターやアンバサダーを募集している段階。サイトデザインを見ると外国人観光客向けだが、国内向けの旅行客も利用できる。

更にエイブルと提携することで、賃貸オーナーから多数の仮申込みがあるという。注意点としては国家戦略特別区域での利用になるので、現在のところ首都圏や関西圏など限られたエリアになる。

利用可能なエリア(条件は自治体によって異なる)
東京都指定18区、神奈川県、千葉県成田市、大阪府、京都府、兵庫県、福岡県福岡市、沖縄県、宮城県仙台市、秋田県仙北市

自分の住んでいる愛知県ないな・・・。まぁ、これも今後順次拡大してほしいね。

 

空室に悩む賃貸オーナーにとっては新たな収入源になる

この仕組みは賃貸オーナーにとってもメリットは大きい。これまで賃貸契約による家賃収入だけだったものが、宿泊収入まで得られるようになるのだ。

慢性的な空室に悩んでいるオーナーには、新たな収入源が生まれることになる。空室を活用した宿泊利用なので、回転率が良ければ家賃収入を上回る可能性が高い。カード決済で未収リスクも減る。

空き家や賃貸物件の空室問題はなかなか解決の糸口が見つからないので、このビジネスモデルはちょっと期待。これが認知されれば、不動産業界にも新たなイノベーションが起こると思う。

 

宿泊利用者にとっても選択肢が広がる

今住んでるのは愛知県だが、東京出張の際は希望するエリアのビジネスホテルがいつも満室で予約取るのに苦労する。ビジネスホテルの数は決まっているのでエリアを外すか、多少高い部屋を選ぶハメになる。

これが賃貸マンションやアパートの空室まで利用できるとなれば、選択肢が大幅に増える。例えば、同じ立地でビジネスホテルと同価格でマンションを選べるとなれば、自分ならマンションを選ぶ。

「TOMARERU」は外国人観光客をメインターゲットにしているが、短期出張のビジネスマンも囲い込めるはず。

 

空室マッチングビジネスは今後も注目

利用者の立場としても今後気になるサービスなので、このTOMARERUが募集しているアンバサダープログラムに登録してみた。新たな情報が得られれば、またこのブログで紹介します。

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