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年々増え続ける空き家。それを逆手に取るビジネスモデルが面白いという話。

      2015/02/26

みなさん、いきなりですが統計情報って見ます?統計局が公表しているやつ。代表的なものだとニュースにもよく出てくる完全失業率とか消費者物価指数とか。

興味ないとまったく見ないかもしれないが、ビジネスと密接に関係してくる業態の人は市場動向をはかる上で絶対に押さえておいたほうがいい。

自分の収集方法は「統計」というキーワードをGoogleアラートに設定して、情報がリリースされるたびに通知が来るようにしてます。

空き家の現状を調べてみた

ちなみに私のクライアントで不動産業を営んでいる方がいるので、興味本位で空室率の統計を調べてみた。年々、空き家が増加しているニュースは聞いたことあると思うけど、最新の統計では全国の住宅総数に対し13.5%が空き家。以下は統計局から抜粋。

空き家率

やっぱり年々上昇しているんだな・・・。ただ、これはほぼ全ての住宅に当てはまるので、賃貸物件に限った空室率も調べてみたら約19%にも跳ね上がる。当然地域によって異なるけど、賃貸の空室が一番少ない都道府県は沖縄県の11.7%だった。

逆に空室の多いワーストは、なんと福井県の30.1%!ん~、3割が空室ってヤバくないか?どちらにしても、全体的な要因は住宅供給に対する需要のミスマッチや、固定資産税の問題など、いろいろ報道されているとおりです。

 

新たな空き家ビジネスとは

とまあ、こんな状況だと住宅市場の先行きに不安を感じてしまうよね。ただ、開発が中心だったこれまでの住宅市場はこの環境変化でリフォーム分野に参入するケースがめちゃくちゃ増えた。有名どころだと野村不動産の新築そっくりさんとか。

住宅リフォームの市場規模は2014年が約6.8兆円で、2020年には8兆円と予測されている成長市場。競争が更に激しさを増すのは間違いない。そこで、シェアハウスといった新たな空き家ビジネスが生まれつつある。面白いのを見つけたのでちょっとご紹介。

 

増加する外国人観光客向けに短期で貸し出す

Airbnb

Airbnb

ご存知のように日本への外国人観光客は増加している。外国人はキレイな洋風ホテルよりも、日本ではどこにでも見られるふすまや瓦屋根、畳といった典型的な日本家屋に魅力を感じている。だったらそのような戸建ての空き家を再利用しない手はない。ちなみにこのAirbnbというサービスは、シェア貸し、個室貸し、まるごと貸しの3種類から選べる。

あと、賃貸空室率ワーストの福井県。北陸新幹線が開通して利便性も良くなり、お隣の兼六園みたいに地方への外国人観光客も増えてきているから、観光誘致のコンテンツとセットにして空室の回転率を上げる手だってありそう。WEBとの親和性もいいしね。

このAirbnbのコンセプトは個人宅の空き部屋を貸し借りできるWEBサービスなので、あなたの家に使っていない部屋があれば貸し出す立場にもなれます。外国人観光客が多いエリアに住宅を持っている方であれば投資額の少ない賃貸オーナーになれるチャンスかもね。

若手漫画家向けに低家賃で貸し出す

トキワ荘プロジェクト

トキワ荘プロジェクト

これはもう完全にコンセプトの勝利。入居者ターゲットを漫画家を目指す地方の若手とし、賃貸物件は出版社の多い東京の古いアパートに絞り込んだというもの。その物件をシェアすることで家賃を低く抑えることができる。

このアパートに住めるのは「本気で漫画家を志す人」しか入居できない。販促で重要なのはターゲットをいかに狭く絞り込むかがポイントなので、このアイデアはいいよね。

トキワ荘といえば漫画家にとって聖地みたいな場所だけど、第二・第三のトキワ荘が増えていけば日本最強のコンテンツでもある漫画文化がより強化されるかも。

 

ターゲットを絞り込むことで空き家に新たな価値を生む

この2つの事例に共通するのは、同じ空き家という箱に対し、ターゲットを絞り込んで価値付けをすることで入居を促しているという点。

  • Airbnbの場合
    地方を訪れる外国人の観光客へ、WEBで手軽に、安く利用してもらいたい
  • トキワ荘プロジェクトの場合
    本気で漫画家を志す地方の若者へ、東京へ集まるコミュニティとして、安く利用してもらいたい

この顧客の絞り込みというのは、同じ業態でも提供するサービスに変化を起こすもので絶対覚えておくといいです。とにかく販促するなら徹底的に絞り込むことから始めることをオススメします。

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